2007年03月15日

選択眼

今日入手した本・雑誌から三点について、ちょっと書いてみます。

雑誌「国文学 解釈と鑑賞」4月号は、「旅と文学」という特集。
近現代の作家・詩人たちの紀行文を、北海道から沖縄まで、県別に並べて、近代文学研究者が解説をしています。全部で60余篇を取り上げています。
が、複数作品取り上げてられている作家もいて、作家の数としては50名ほど。
近代文学に疎い私には、初めて見る作品の名前ばっかりです(笑)。全然知らない作家の名前もちらほら。
純粋にマイナーなものばかり選んできたのでは?と勘ぐってしまいそうな編集路線です。
 

で、沖縄は、井上靖の「沖縄の一週間」。
これも、私は初めて知りましたが、ここに紹介されている解説(小澤保博氏担当)を拝読しても、作家が沖縄でどんなことを感じ、何を得て、それが創作活動にどう影響したのか、さっぱり見えません。
収穫は、井上靖が沖縄に来たことがあったのだ、という新しい知識を得たことだけ・・・。(ついでに言えば、とんでもない誤植が一カ所あります・・・。)
どうしてこの作家、この作品を、この特集の沖縄県に選択したのか、わかりません。さっき申したように、マイナー路線に即した、ということで納得するしかないのです。
もっと、ほかに適当な作家・作品がありそうなものなのに。

もう一冊。
『ホントに旨い沖縄料理店』(枻文庫 2007年2月28日発行 171頁 本体価格680円)。
旅行ガイドブックや、沖縄紹介のムックなどで溢れている、旨いもの屋情報の文庫版の登場です。
沖縄にしばらく滞在する人や、もちろんウチナーンチュにも、重宝するでしょうね。
なにせ、文庫でありながら、沖縄県内55店、県外15店が紹介されていますから。
私のご贔屓の店も、何店かはいっています。嬉しいですね(笑)。
この出版社、「沖縄スタイル」などを発行し、県外の沖縄ファンに一定の支持を得ており、この文庫もその路線上に編集されたものと思われます。
ですから、超有名店もはずさず、一方でこんな店があったのか、というところも押さえて、沖縄グルメオタクの自尊心や探求心をくすぐります。「知っていれば沖縄料理店で役立つ言葉事典」とか「知っておいしい豆知識集」というコラムも、うれしい。
こちらは、編集者の眼が、取り上げられる対象と読者との両方をしっかり捉えていた、と言えるでしょう。

さらに一冊、ひとことだけ。
やはり沖縄モノで稼いでいる?双葉社が出した、『奄美の島々の楽しみ方』(あまんゆ編著 2007年2月15日刊 A5判207頁 本体価格1600円)は、奄美に詳しい執筆者を揃え、奄美諸島をディープに紹介してくれています。
沖縄と異なり、類書がほとんどないだけに、奄美を訪れる前に是非読んでおきたい本です。
お薦めです。

あと数冊、そのなかにはとても良い本が含まれていますが、それについては、後日に。
にしても、編集者の眼、本作りには大事だなぁ。


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Posted by 干瀬のまれびと at 21:06│Comments(0)
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紹介いただいているブログ5【奄美の島々の楽しみ方】at 2007年03月24日 18:28
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